垂拱而治
読み方
すいきょうじち意味
君主が細かなことにまでみだりに手を出さず、徳と適切な制度によって天下・国家を自然に治めること。「垂拱」は両手を垂らして拱(こまね)く意で、転じて君主が余計な干渉をしないこと、「而治」はそれによって治まることをいう。無為の統治の理想を表す語。由来
中国の古典『書経(尚書)』の「武成」篇にある「垂拱而天下治(手を垂れて拱き、しかも天下が治まる)」に基づく。周の武王の政治をたたえた文脈で用いられる。『書経』は古代中国の文献で、成立・編纂時期には諸説あるが、戦国時代から漢代(紀元前5世紀頃〜紀元後1世紀頃)にかけて伝承・整理されたとされる。備考
主に古典・漢文や政治思想を論じる文脈で使う硬い語。「何もしなくてよい」という意味ではなく、為政者の徳、人材登用、制度の整備によって過度の介入なしに治まるという理想を指す。例文
- 優れた君主は細部を統制しすぎず、垂拱而治の姿勢で人材を信任した。
- 垂拱而治とは、何もしない怠惰ではなく、民が自律して暮らせる秩序を整える政治理念である。
- 社長がすべてを決裁するのではなく、権限を委ねて組織を動かす姿は、現代的な垂拱而治ともいえる。
類義語
- 無為而治
- 垂衣拱手
- 恭己正南面